10月 14, 2009

空気人形見ました

4402b45a.png是枝 裕和さんの「空気人形」見てきました。
ものすごい良い作品だったと思います。
とはいえ、個人的に見た感じで感じた事を挙げると、結局この映画が伝えたかったのが何なのか。荒唐無稽な事を通して、ただ都会に住む人々の空虚さを描きたいだけだったのか。今ひとつその真意が測りかねます。
ただ、それは見る人によっていくらでも解釈のできる懐の深い造りだからこそかもしれません。見る人の状態や気分をいくらでも投影できる作品に感じました。
登場人物全てが、何らかの空虚感を持ち。
そして代用品だったり、別の代用品に怯えたり、不要品となる事を恐れたり。
そして不要とされてしまったり。
だけど、命である以上必ず何かの関わりがあって、あなたは誰かの命に関わっている。
ただそれにしては終わり方が悲しい気もします。
何だか救いの無い感じもそこにはありました。
そこにあったのが希望なのか、絶望なのか。
そこが計りきれません。
まあ何にせよ、すごくよく出来た映画だったと思います。
キャストが素晴らしく、それに伴う映像、音楽など、どこか浮遊感と空虚感が漂う。全てがバランスよくまとまっている感じでした。
■フォートウォーミングなものを期待した人にはアレです。
CM見てハートウォーミングなものを期待した人にはちょっとお勧めしがたい感じです。
そんな人は、「ラースと、その彼女」という映画の方がお勧めかもしれません。
ラースと、その彼女 (特別編) [DVD]
■原作コミックを読みました。
20090911154326712.jpgちょっとこの作品に触発され、原作(といっても短編)を読みました。
業田良家の「ゴーダ哲学堂」
ゴーダ哲学堂 (竹書房文庫 GY 8)
なんかタイトルに惹かれたのと、「短編集」ってのに惹かれて買ったのですが、とても面白いです。
社会に対して視点をちょっとずらす「哲学感」が面白く、短編だからってのもありますが、読み手に考えるゆとりがあるのが良いです。この辺は、映画「空気人形」にも通じるものがあります。
ちなみにこの短編集、前半は前述した通り「視点をずらした」漫画だけど、後半は完全に哲学というか、何というか。漫画でやる必要あんのか?って疑問を覚えるというか、哲学というよりは詩とか散文に近いかもしれません。
まあそれでも面白いと思うというか、かえってそういうのが好きな人もいるでしょうから、良しという事で。
須賀原 洋行さんの「うああ哲学事典」とか好きな人にはわりとお勧めな感じかと。
新釈 うああ哲学事典 上 モーニングワイドコミックス
こちらは哲学的な論理を、荒唐無稽な世界のアーキテクチャーに置き換えて見せる短編集。どちらかというばこちらはギャグで読みやすいです。まあ「ソフィーの世界」みたいな感じです(嘘)
なんか、秋に読むには良い漫画だと思いました。

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