先日、靴が壊れました。
ずっと20年近くつかっていたライケルの軽登山靴です。
軽登山靴といっても5万くらいはした代物です。
高校から登山を始めて、いろんな登山靴をはいたけど、この靴を一念発起してかってはいた時はそれもう衝撃でした。履きやすく、快適で、軽く、歩きやすい。値段はかざりでもなんでもなく実力だって思い知りました。
あまりにもその衝撃が忘れられず、ソールが一度だめになった事もあったんですが、張り替えてつかっていました。
そんな登山靴が、またまたソールがはがれてしまいました。
さすがにそろそろ限界のようです。修理したのもそんなに昔じゃないし。
思えば、20年もつかっているものなんで、身の回りには一つもありません。多分これだけです。
壊れた時に靴を買い換えるかと思い某ABC●ートにいって店員に見せたら、店員もそんな背景知るよしもないから、「もう捨てた方がいいっすね〜」なんて軽く言われちゃいました。もう二度とあの店では買い物しない!なんて思っちゃうほどです。まあ向こうからしたら知ったこっちゃないから当然なんですが。
でもね、今でこそ山には登ってないけど、山屋(登山家のスラング)にとって靴は命なんですよ。まじで。ギタリストにとってのギター、叶美香さんにとっての恭子さんなわけですよ。それをそんな言い方されるとねえ。
にしても急にきたな〜。
閑話休題—
こちらの日記には全然告知も更新もしていなかったんですが、先日CoventGardenCLUBという演劇ユニットで鴻上尚史さんの脚本「トランス」を公演しました。
トランスというのは三人芝居で、演者が三人しかいない分、それはもう濃厚な芝居を繰り広げるわけです。結構いろんな役者さんが一度は通る道的な脚本でもあり、人に話すと「あ、俺もやったよ〜」なんて言葉をよく聞きました。自分はオカマの参三を演じたのですが、三人の濃度がとても均一で、誰が楽とか、誰が大変なんて事はなく、一人余すところなく大変な目にあう脚本だったりもします。参三もとても大変でした。
演出の要望で、
「あまりステレオタイプなオカマにならないで、一人の人間としての参三を描く」とか、
「パっと見はちょっとキモいけど、見ているうちに可愛いと思える人物」とか、
「複雑な過去をもった人間性」とか、
ただでさえ台詞量も多く大変な役に+して色々ハードルあげられ、そりゃもう大変で、仕上がったのも本番前日くらいです。それでも色々セリフミスをしちゃう感じで(汗
いろんな困難と、いろんな緊張感をもって臨んだ本番でした。
そんな本番が終わりました。
——–
そういえば登山靴なんですが、本番がおわって急に壊れたけど、実は本番中の衣装につかっていました。
それなりに激しい本番だし、稽古の時も何度かつかっていたのに、ひょっとして本番で無理させたのかな〜、よく稽古中や本番中に壊れなかったな〜、って感心しました。
ひょっとして、本番おわるまで耐えてくれたのかも。。。
なんて、らしくもない事を考えてしまいました。
普通に捨てるなんてできないほど大事な靴だから、靴供養に出してあげたいと思います。
山を下りてまで自分をささえてくれたこの靴を、20年分の感謝をこめて。
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